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世界の航空、パイロット確保急ぐ 訓練生増・基準緩和 2019年5月21日 日本経済新聞
世界で民間航空機のパイロット不足が深刻化している。格安航空会社(LCC)の普及や新規路線の増加が背景だ。今後20年間でおよそ80万人のパイロットの新規需要が見込まれ、航空各社は自社養成を増やしたり、手当を増額したりと急ピッチで対応を進める。ただ急速な需要増で、操作の技量不足による安全性やコストの増加といった影響が懸念される。
「世界の需要を満たすには毎日80人の卒業生を送り出す必要がある」。アラブ首長国連邦(UAE)のドバイにあるエミレーツ航空が運営するパイロット養成施設のアブドゥラ・アル・ハマディ副校長はこう語る。
2017年に始めた施設では現在200人の訓練生が学ぶ。施設の拡張を急いでおり、20年に現状の2倍となる400人、最終的には600人が在学できるようにする。

米航空機大手ボーイングは、18年から37年までの20年間で世界で新たに79万人のパイロットが必要になると分析している。アジア太平洋地域が26万人と約3分の1を占め、中でも需要が大きいのは中国だ。
豪航空2位のヴァージン・オーストラリアは豪国内にパイロット養成学校の開校を準備している。中国の複合企業、海航集団(HNAグループ)が豪州に保有する航空学校が運営で協力する見通しだ。豪メディアは500人程度の定員のうち9割が中国人学生になるとの見方を示す。
ただ、高度な専門知識と技術が必要なパイロットの育成施設を運営できるのは世界の航空大手の中でも一部だ。多くの航空会社は、給与の引き上げや手当の増加でパイロットの獲得や定着を目指している。
インドでは大手LCCのインディゴが、資金難に陥った企業のパイロットに未払い賃金の支払いを提示し、引き抜きを進める。韓国でもパイロットの引き抜き合戦がおきている。給与増は経営の打撃となりかねず、航空各社は引き抜きを制限する仕組みを韓国国土交通省に要望したという。
中国では採用基準の緩和が進む。中国国際航空は従来は身長170〜185センチメートルとしていた募集要項を、18年度から168〜188センチメートルと広げた。視力などの募集条件を緩和する動きが他社でも相次いでいる。
世界の航空会社でつくる業界団体、国際航空運送協会(IATA)によると、19年の世界の旅客数は45億8800万人と、14年比で38%増える。中間層の増加に伴う旅行需要の拡大やLCCの台頭、路線増もあり、旅客数は右肩上がりだ。
パイロット不足による運航への影響も出始めている。英LCCフライビーは4月、複数の便をキャンセルした。17年には欧州のLCC大手ライアンエアー(アイルランド)が大量の運休に追い込まれ、約40万人に影響が出た。
豪州の航空関連シンクタンク、CAPAのピーター・ハービソン会長は、従来なら複数のパイロットで担当する路線を「1人で操縦する取り組みが進む可能性がある」との見方を示す。
航空経営研究所(東京都府中市)の風間秀樹主席研究員は「需要の急拡大で従来なら採用していない人材を雇い、訓練時間の増加でコストが大幅に増える可能性がある」と、航空会社への経営への影響を指摘している。

スカイマーク初の自社養成パイロット誕生--自社養成第5期生も募集中 2018年4月4日 マイナビニュース
 スカイマークは4月4日、4人の自社養成パイロットが全ての審査を経て、副操縦士の発令を受けたことを発表した。今回任用された4人以外にも訓練を実施しており、今後も順次、自社養成による副操縦士が任用される予定となっている。
 スカイマークは4月4日、4人の自社養成パイロットが全ての審査を経て、副操縦士の発令を受けたことを発表した。今回任用された4人以外にも訓練を実施しており、今後も順次、自社養成による副操縦士が任用される予定となっている。
 スカイマークは、新規参入の航空会社で初めて自社でゼロからパイロットを養成する制度を2014年度から開始し、航空会社のパイロットに必要なライセンス保有者を採用し、養成を行ってきた。パイロット不足が拡大する中、今後予想される航空需要の拡大に十分に備えるため、自社養成パイロットの採用に踏み切った。
 副操縦士となった4人は入社後、地上研修を経て、国内外で訓練を積んだ後、2017年末に国土交通省航空局の試験に合格した。その後さらに路線訓練や社内審査を経て、この度、副操縦士として任用された。
 今回任用された4人以外にも訓練を実施しており、今後も順次、自社養成による副操縦士が任用される予定となっている。また、現在は2019年度入社の自社養成第5期生やライセンス所有者の募集もしており、今後もパイロット養成を継続していく。

ピーチ、パイロットを自社養成へ 年10人以上採用    2018年3月4日 朝日新聞より
 格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーション(大阪府田尻町)は1日、パイロットの自社養成を始めると発表した。世界の航空需要が急拡大してパイロット不足が深刻な問題となるなか、人手確保に向けて独自策を打つ。LCCとしては国内で初めての取り組みになるという。

 募集は夏ごろに始め、1期生は2019年度に入社する。国籍は問わないが、来年春に大学を卒業する人らを対象とする方針。森健明副社長は「航空会社でパイロットを取り合っても全体数は増えない。これから伸びしろがあるのはLCCで、ピーチの成長のために必要だ。少なくとも年10人以上は採用したい」と語った。

 同社はこれまで、航空大学校などを出て操縦士免許を持つ人を採用してきた。今後は未取得者にも門戸を開き、関西だけでなく首都圏でも採用に力を入れる。養成のカリキュラムは、国内外の養成学校などと連携してつくる。

ジェイエア 全国を飛び回る飛行1万時間超の女性機長   2017年12月11日 毎日新聞
  日本航空系の航空会社「ジェイエア」の女性機長、三原朋子さん(38)が旅客機のベテランパイロットの目安となる飛行1万時間を突破した。国内エアラインの女性機長は、同社では2人、全日本空輸なども含めても数人だ。その中で1万時間突破は、おそらく国内最長クラスと思われる。

空を見て「飛んでみたいなあ」
 三原さんは兵庫県西脇市出身。小学生の頃、空を見て「飛んでみたいなあ」と思ったという。しかし、同じ頃にたまたま出場した町内会のソフトボール大会で活躍したのをきっかけに、中学・高校とソフトボールにのめり込んだ。しかし「インターハイには出場できず、このままでは夢だった実業団の選手にもなれないと思った」。高校で進路を決める時、子供の頃の夢を思い出した。

「やっぱり、空を飛んでみたい」
そこで大阪にある飛行学校の門をたたいた。「自分で操縦かんを握った時より、同じ練習生の操縦するセスナ機で初めて空を飛んだ時、すごく感動したのを覚えています。ああ、空へ来たんだと……」と振り返る。
関西と米国の両方を訓練場所として訓練に励み、自家用操縦士、事業用操縦士免許などを順調に取得した。遊覧飛行などの小型機を使う「使用事業」の仕事を志望したが、日本ではその仕事はそんなに多くはなく、就職口はなかった。そんな時、国内のローカル路線を運航するジェイエアがパイロットを採用する話があり、2001年に同社に採用された。最初の機体は英国製の小型ターボプロップ旅客機「ジェットストリーム・スーパー31」(JS31)。乗客は19人しか乗れなかったが、「空を飛んでいるという感覚が感じられる機体だった」という。旧広島空港(現在の広島西飛行場)や伊丹空港などを中心に飛び回った。

「まだ、こんな着陸をしているのか」
次に乗務したのは、ジェイエアの主力ジェット機「CRJ200」型機。乗客50人乗りで機体の重量もあり、さらにJS31とは違ってパワーのあるジェット機だ。操縦は格段にむずかしくなり、着陸時の感覚がうまくつかめない。

「副操縦士とし訓練していると、いつもの教官以外の機長と乗務した時、『なんだ、まだ、こんな着陸をしているのか』と言われてしまった」。それでもめげず。懸命に操作を繰り返しているうちに操縦は安定し、副操縦士として認められた。そして11年には機長に昇格した。
昨年はブラジルのハイテク機「エンブラエル」の機長となった。95人乗りの「エンブラエル190」(E190)型と76人乗りの「エンブラエル170」(E170)型機の機長として日本中を飛んでいる。

「E190はCRJより飛行のためにコンピューターが多用されています。飛行にどうコンピューターを使いこなすべきか。それを理解するために勉強が必要」という。飛行を重ねて今年3月、飛行1万時間を突破した。同社は国産のMRJの導入を決めているが、「チャンスがあれば乗ってみたい」ともいう。

後輩たちを育てたい
ジェイエアは短距離の路線が中心のため、三原さんは1日3〜4回飛行する。気分転換は休みに、住居がある大阪から車で温泉などに小旅行することだという。
現在では機長としての業務だけではなく、CRM(コックピット・リソース・マネジメント=機長と副操縦士がチームとしてより効果的に安全運航ができるようなコミュニケーションなどの方法)の教官も務める。
同社の女性パイロットは9人。「これからは自分の操縦技術の向上だけではなく、後輩たちを育成していきたい」と力強く語った。

パイロット不足で争奪戦が激化 年収2000万円超の攻防  2017年12月2日 NEWSポストセブンより
 機長の退職により定期便の欠航を余儀なくされているエア・ドゥ。これまでもピーチ・アビエーションやバニラ・エ アで運休が相次ぐなど航空業界を取り巻く「パイロット不足」の問題は年々深刻さを増している。 そこで起きているのがパイロットの争奪戦だ。元パイロット、現役の航空業界関係者、航空経営研究所の研究員らの情報をもとに、厳しい内実に迫った。

■パイロットは何人足りないのか
 国土交通省は2022年に必要なパイロットの数を6700〜7300人と予測している。だが、現状いるパイロットは5700人足らずで、定年退職による自然減も考慮すると、新たに年間200〜300人の確保が必要とされている。
「副操縦士の数はそこそこいるが、能力的にそのすべてが機長に昇格できるわけではないし、現役バリバリでやっている機長は定年退職直前の60代の人たちも多い。このままでは今以上にパイロット不足で運航できない状況が出てくるだろう」(業界関係者)
パイロットの一斉リタイヤが懸念される“2030年問題”はすでに始まっているのだ。

■若手パイロットの養成はどれだけ期待できるか
 パイロット不足の対策として、国が航空大学校の採用枠を増やしたり、航空会社がパイロット養成課程を持つ私立大学への奨学金制度を創設したりするなど若手の育成に力を入れ始めているが……。
「パイロットになるには、専門的技術はもちろんのこと、一般的な基礎学力も必要だし、日々努力する素養がなければ務まらない。若手の養成枠を増やしたところで、その分採用数も増えるとは限らない」(航空経営研究所)

■機長ヘッドハンティングの現場
 パイロットを自社で養成するのは長期的な戦略としては有望だが、直近の人材難を解消する手立てにはならない。より高度な能力が求められる機長ならなおさらだ。
そこで、一番手っ取り早いのが、他の航空会社から優秀な機長を引き抜くヘッドハンティングだ。実際にどんな手法で行われているのか。
「一般的にはパイロット専門の派遣会社や斡旋会社を通じて募集をかける。外国人パイロットも含めて世界中から応募はくるが、なかなか採用できる人材がいない。10人応募してきたら、1人か2人採用できればいいほう。いざ、採用しても日本のパイロットライセンスを取得できなかったり、途中の訓練で辞めてしまったりする人も多い。
コスト削減を進めるLCC(格安航空会社)の中には、派遣会社に抜かれるマージンを抑えようと、直接ヘッドハンティングに乗り出す会社もあるが、状況は変わらない。アメリカに候補者がいるからと現地に出向いて適正検査をしても、1人も採用できずに帰ってくるなんてケースはよくある」(元パイロット)
それだけ日本のパイロット資格や適性検査の難易度が高いことの裏返しではあるが、経験豊かで一定レベル以上の機長を探し出すのは容易ではないようだ。

■高い報酬で引き抜く手段は有効か
現在、パイロットの年収はキャリア、訓練月のフライト手当補填などによっても異なるが、ある程度の経験を持った大手航空会社のパイロットなら2000万円以上は保証されるという。
「LCCであっても、あまり年収を抑えると人が集まらないので、キャプテン(機長)に2000万円近くを提示する会社は多い。また、報酬が安いからという理由で現役機長に移籍されても困るので、他社を見て年収を少しずつ吊り上げるという待遇改善が業界全体でこの5年ほど続いている」(業界関係者)
当然、ヘッドハンティングを仕掛ける際には、「ウチに来てくれれば、今の年収より上積みします」というやり方は有効だが、報酬提示にも限界はある。
「中国や中東のエアラインが4000万円など破格の報酬をエサに世界中からパイロットを集めている。人件費の高騰が経営にとって大きなインパクトとなるLCCなどは到底太刀打ちできないため、経営の安定度や社風の良さなどアピールしてパイロットの固定化を図っている」(航空経営研究所)
だが、日本人パイロットといえども、自国のエアラインで操縦かんを握るだけがベストな選択肢とはいえない風潮もうかがえる。
「2010年に日本航空が破綻して以降、パイロットの流動性が生まれ、会社を移るという心理的垣根はなくなった。もちろん海外の航空会社に行けば、何かあるとすぐに手のひらを返される恐れもあるが、とりあえず高給をもらえるだけもらって、また移籍すればいいと考えるパイロットは増えた」(元パイロット)

■人材難でも余剰パイロットは抱えられない?
航空会社が事業計画や路線の拡張を練るうえで、パイロットの確保が欠かせないことは言うまでもない。
「一般的に新型機を3機導入すれば30人単位のパイロットが必要で、今いるパイロットを訓練に回せば定期運航にも支障が出る。あらかじめ余剰人員を抱えておかなければならない」(元パイロット)
もちろん、パイロットが数人辞めただけで定期便が欠航するという近年の事態は、「会社のイメージだけでなく、社会的な使命も果たせなくなる」(航空経営研究所)ことに等しい。だが、余剰人員を抱え込みすぎるのも、航空会社にとってはリスク増になり得るという。
「航空業界は世界情勢の変化や大きな出来事によって、右肩上がりだった業績が一気に落ち込んでしまう。これまでもアメリカ同時多発テロ、SARS騒動、リーマン・ショック……といった出来事の度に経営状況が悪化し、真っ先にパイロットを含めた人件費を削るという施策を繰り返してきた。
そうした歴史を考えると、やみくもにパイロットを確保するのはどうかという慎重な意見があるのも確か」(航空経営研究所)
いずれにせよ、2020年の東京五輪を控えて日本の航空需要が高まっているいま、流出や引き抜きなどパイロットの争奪戦は一層過熱していきそうだ。

LCC台頭でパイロット不足深刻 エア・ドゥ運休余儀なく 2017年11月27日 北海道新聞
 世界で争奪戦「人ごとではない」
 航空各社が慢性的なパイロット不足に悩まされている。AIRDO(エア・ドゥ)は機長2人が中途退職した影響で、11月に続き来年2月にも新千歳―羽田線を26便運休する。限られた人材で運航ダイヤを回す航空各社は常に運休のリスクにさらされており、業界では「人ごとではない」との声も漏れる。世界的にもパイロットの需給は逼迫(ひっぱく)しており、事態は深刻化している。

「副操縦士が機長になるには10年程度かかる。機長に抜けられたら補充は簡単じゃない」。道内の航空関係者はエア・ドゥの厳しい事情をおもんばかる。
 国内では「格安航空会社(LCC)元年」と言われた2012年以降、LCCの台頭や機体の小型化で便数が増え、パイロットの需要が拡大。14年にはピーチ・アビエーションとバニラ・エアもパイロット不足から減便を余儀なくされた。

売り手市場で人材流動化
 大手がバブル期に大量採用したパイロットの定年退職で深刻な人材不足に陥る「2030年問題」も懸念される中、航空大学校や航空会社による自社養成など育成法は従来と変わらず、供給が追いついていない。最近では私立大が養成コースを新設しているものの、学費が4年間で1300万〜2600万円と高額で、定員割れも出ている。

 エア・ドゥの機長2人の退職は他社への転職とみられるが、以前はパイロットが他社へ移るのは業界のタブーだった。転機となったのは10年の日本航空の経営破綻だ。退職したパイロットの一部が他社に流れ、転職のハードルが下がった。

 関係者の話を総合すると、国内では各社が必ずしも引き抜きという形で中途採用しているわけではないという。パイロットの間では出身校などのネットワークが強く、各社の報酬や労働環境、機長昇格までの期間などの情報を共有。パイロット自身がそうした情報を基に、他社の門戸をたたくケースが多い。転職の敷居が低くなったことに加え、空前の売り手市場となり、人材が流動化している。

日本の空を覆い始めたパイロット不足の難場     2017年11月10日  東洋経済ONLINE
 北海道を地盤とする地域航空会社のAIRDO(エア・ドゥ)が11月6〜25日までの期間中に、羽田―札幌線と札幌―仙台線の2路線で計17往復34便を運休している。

■たった2人の退職が正常な運航を妨げる
 理由はパイロットの不足だ。39人いたボーイング737型機の機長のうち2人が退職し、その穴埋めができなかった。12月以降も場合によっては運休が続く可能性もある。全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)といった大手航空会社に比べて規模が小さい航空会社とはいえ、たった2人の退職が正常な運航を妨げてしまうほど、パイロット不足は航空業界にとって課題になっている。
 国土交通省は2022年時点における日本全体のパイロットの必要数を6700〜7300人とする予測を発表している。LCC(格安航空会社)も含めて国内外で航空路線がどんどん拡充されているためだ。
 一方、2017年における日本のパイロット総数は約5700人。この先5年間に最低でも1000人のパイロットの補充が必要となる計算だが、この間に年間100人のパイロットが退役するという試算もある。つまり、実際には5年間で1500人、年間平均300人のパイロットを新たに確保する必要が生じている。
 日本のパイロットは主に航空会社、航空大学校、私立大学、民間でそれぞれ養成している。実際にはどれぐらいのパイロットを養成できるのか。
 まず、航空会社の自社養成を試算してみよう。一時期中断していたものの近年再開され、大きな力となっている。JAL、ANA、スカイマーク合わせて50人程度が見込まれる。
 航空大学校は来年度から定員をこれまでの年間72人から108人と50%の増員を計画し、現在採用中である。彼らが卒業するのは2020年以降ながら、訓練が順調に進めばこれまでの航空大学校の就職実績(約8割)を参考にすると80人が期待できる。
 私大はそれぞれ定員が東海50人、桜美林30人、法政30人、崇城20人。実績値から私大全体で年間80人程度が見込める。民間の飛行学校卒業生は過去の実績から年間20人程度の養成になるだろう。
 これらを総合するとパイロットは毎年230人程度の養成ができそうだ。だが、国交省の試算値に対しては毎年70人程度、計350人が不足する。現時点でさえ激しいパイロット争奪戦が、さらに激化することが予想される。
 そもそもパイロット不足は日本だけの問題ではない。世界的な問題だ。
 ボーイングやエアバスは将来の大幅な航空機需要の増加に伴ってパイロット、整備士の需要が大きく増えると予測している。たとえばボーイングは2017年から2036年までの向こう20年間に全世界で63万7000人のパイロットが不足するとの試算を発表している。
 航空機メーカーの期待値が当然含まれ、まともにとらえるわけにはいかないものの、すでにパイロット不足が現実の問題となっていることには間違いない。
 ただ、「世界的なパイロット不足」の問題は国により、地域により、また航空会社各社によりそれぞれ違う。

■アメリカの現状は? 
 航空大国であるアメリカの現状を見てみよう。
戦後、日本の民間航空が始まったときには、多くの米国人パイロットが機長として操縦かんを握っていたものだ。米国は世界へのパイロット供給源でもあった。しかし2008年のリーマンショックを境に米国のパイロット事情は大きな変化を遂げることになる。景気後退に伴う需要の低迷を受けて新人パイロットの給料がコンビニの従業員並みに落ち込んでしまったのだ。1カ月の給料が1650ドル。日本円に換算すると約16万5000円である。
これではいくら将来の夢を追いかける若者でも二の足を踏んでしまうのは当然で、アメリカの若者達は徐々にパイロットへの道をあきらめていくことになる。
さらにこの流れに追い打ちをかける法改正が2013年に施行された。その内容は、これまで飛行学校を卒業し、事業用操縦士免許(CPL)を取得すれば小さな航空会社の副操縦士として乗務が可能であったものが、今後は機長資格(ATPL)を保持していないと副操縦士としても乗務できないというものだ。CPLを取得するのに通常であれば250時間の訓練飛行時間が必要だが、機長資格となると最低でも1500時間必要となる。これを自己負担で埋めようとすれば、その額は1000万円以上である。
こうして、米国ではピーク時の2008年と比較すると自家用操縦士だけでも約6万2000人が減少しており、その数はパイロット総数の1割以上である。すなわち、新人のパイロットが育たなくなってきているということである。
その結果全米500空港で10〜20%の減便を強いられ、運休となった空港は18を数える。
この非現実的な法改正が行われた背景には2009年に米国で起きた2つの航空機事故が関係している。その1つは映画にもなったハドソン川への不時着水事故。この事故は幸い死傷者は出なかったが、引き続いてニューヨークで起きたコルガン航空機事故が致命的であった。パイロットの不適切な操縦が原因で墜落し、地上にいた人をも巻き添えにして50人の犠牲者が出てしまったのだ。
これらによりアメリカの世論がパイロットへの規制強化に傾いていったのだが、結果としてパイロット不足という問題を引き起こすことになってしまった。現在この規制緩和に関する法改正が米国議会で審議されているところであるが、安全性の向上を志向して決められた法律を経済性の理由で覆すことはなかなか難しいのが現実である。

■少ないパイの取り合いが激化する
現役パイロットの大量退役という大きな問題も抱えている。
米国では2021年から向こう20年間にメジャーエアラインのパイロット約4万5000人が退役する。
米国のパイロットのキャリアパスは、日本と違っていきなりメジャーのパイロットにはなれない。リージョナルやコミューターエアラインなどを経験して実績を積んだ後の民間人、もしくは軍出身者に限られる。その供給先である民間人で、かつ、メジャーの穴を埋める対象のパイロットは約1万8000人しかいないのが現実である。
また、軍は現時点でも約1500人のパイロットが不足しており、トランプ大統領が、民間に移った元軍人の軍への復帰を大幅に認める法令に署名をしたという事実を見ると、この問題がいかに深刻であるかが推測できる。
これらのことから現時点ではメジャーエアラインのパイロット不足は顕在化しておらず、リージョナルやコミューターエアラインにその影響が顕著に現れているわけである。したがって当然のことながら少ないパイの取り合いが正にカニバリズムの様相を呈してきている。
新人を獲得するために給与は倍額。その他、多額のボーナスや各種インセンティブの提供により各社は生き残りをかけている。
アメリカ以外の諸外国はどうか。
イギリスでは最近、LCCであるライアンエアーのパイロット不足による一部運休が話題となった。これはライアンエアーの労働条件に不満を持つパイロット140人をノルウェーのLCCノルウェージャン・エアシャトルが引き抜いたことによるもので、こういったことはパイロットに限らずどこの世界でも起こりうることだ。結果、ライアンエアーはアリタリアやエアベルリンなどからパイロットをリクルートしてその穴埋めに当てている。
現在イギリスではすでにライセンスを所持しているが乗務経験のない500人のパイロットが職を求めている状況であり、新人パイロットはむしろ余っている。どこの航空会社も「経験のある」パイロットを求めているのだ。
その状況は東南アジア諸国の航空会社でも同様で、その機種に限定して即戦力となるパイロットを厚待遇でリクルートしている。また、一方でシンガポール航空などのように自社での新人養成を積極的に進めているなど、各社それぞれ自社の体力に応じてパイロット養成に力を入れている。
ちなみに中国においては現在自社養成を行っているのは中国南方航空1社のみである。

■10年ほど前と同じ手は使えない
ひるがえって日本を見ると、今後は2030年問題が指摘されている。現役パイロットの年齢分布は現在40代後半から50代前半に非常に大きな山があり、この人たちが2030年以降の10年間、毎年250人規模で退役する。しかもそのほとんどが機長である。
パイロットの大量退役問題は団塊の世代が退役を迎えた10年ほど前にも起きたのだが、その時はパイロットの身体検査基準を緩和し、定年を60歳から段階的に68歳まで延長することによりある程度はしのぐことができた。しかし、今度はもうその手は使えない。
解決策がないわけではない。
ボーイング社は、先頃、自律飛行システム(いわゆる無人機)の開発を手掛けるAI企業への投資を発表し、世界のパイロット不足の解決策の1つと位置づけている。人間の英知による技術の進歩は限りなく、しかもその速度は速い。しかし、無人機の到来に期待して、はたしてそんな時代が到来するのを指をくわえてじっと待っていられるのか。
とにかく航空界に人を集めることである。それも機長になれる有為な人材を。パイロットが魅力ある職業であることは言を俟(ま)たない。その証拠に自社養成パイロットの競争率は現在では300倍から400倍といわれている。多くの若者はできることならパイロットになりたいと思っているのに、それを阻んでいるのはパイロットになるためのコストとリスクだ。
自社養成はこのコストとリスクの双方を軽減してくれる最良のシステムであると思われる。確かに航空会社の負担は一時的に増えるものの、航空業界の発展のための投資と見れば安いものである。国も相応に支援することが不可欠である。
また、これまで定員割れしていた私大での養成は近年定員を充足するようになり、今後はさらに期待できる。しかしながら、4年間の学費を含め、2000万〜3000万円の費用を要することからさらなる奨学金制度の充実が求められる。
航空大学校は養成規模を一気に5割も増やしたが、教官の確保や機材の調達などの教育環境が整い、安定的に質のよいパイロットを養成するまでには相応の時間を要するとみられる。
米国には自社養成の制度は存在しないが、業界最低賃金のメサエアーは時給を22ドルから40ドルに引き上げ、さらにボーナスや長期の契約などを提示することにより人材を確保しようとしている。この例を見るまでもなく、多くの若者に夢だけでなく現実的な報酬と安定的な待遇を与えなければ有為な人材は確保できないということだ。
日本では、過去にあったようにパイロット不足を外国人パイロットに頼るという選択肢は最早ない。
風間 秀樹 :航空経営研究所 主席研究員

LCC急増、大量退職・・・日体大がパイロット養成に乗り出すぞ   2016年3月22日 産経ニュースより
 日本体育大学が平成28年度から航空機パイロットの養成に乗り出すことが21日、わかった。近く東京都内で、学生らが留学する米国の専門訓練機関と提携協定を結ぶ。格安航空会社(LCC)の急増やパイロットの大量退職でパイロット不足が問題になりつつある中、日体大の取り組みは養成過程を多様化する例として注目される。
 日体大は、学内や付属高校などから一定の英語力や身体能力を持つ18歳以上の学生、生徒を募集し、航空力学などの基礎的な講義を実施する。その上で選ばれた学生らは、訓練機関で13カ月程度かけて専門教育や実技訓練を受ける。
 費用は保険料や寮費など含め8万5千ドル(約950万円)。日体大は、4月に留学する学生1人を内定しており、今秋以降も随時留学させたいとしている。
 日本でパイロットを目指すコースとしては、航空会社の自社養成や独立行政法人航空大学校のほか、専門学科を設ける東海大や法政大など一部の私立大にとどまる。日体大のように学科を置かない例は珍しい。
 日本では、三菱航空機(愛知県豊山町)が開発を進める国産初のジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェト)が就航すれば多くのパイロットが必要となる上、40年代には大量退職者が発生し、パイロットが2千人規模で不足すると見込まれている。
 
航空人為ミス 急増の背景にパイロット不足        2015年8月26日 毎日新聞より
 国土交通省に報告される「ヒューマンエラー」が、航空業界で急増している。路線や便数の増加に、人員の供給が追いついていないことが背景にあるとされる。特にパイロットの不足は深刻で、1人あたりの業務負担が増大し、安全が脅かされると危惧する声も出ている。

◇休憩時間減り「きつい」・・・精神的疲労も
 「フライト間でほとんど休憩が取れず、目の前のスケジュールをこなすのに精いっぱい」。格安航空会社(LCC)に勤務するベテランパイロットは、そう話しながら最近の勤務スケジュールを明かした。
 午前9時に成田空港に出勤。10時半ごろ台湾に向けて出発し、午後1時半(現地時間)ごろ台湾の空港に到着する。40分後には成田に向けて離陸。午後7時ごろ成田に着くと、出入国審査カウンターを通り、新千歳行きの便に搭乗する。
 午後8時ごろ出発。10時前に新千歳空港に到着し、宿泊先のホテルに入るのは午後11時前だ。翌日は新千歳?成田?新千歳?成田と運航して夜に帰宅。その翌日も勤務が入ることがあり、1カ月の飛行時間は80時間を超える。国交省は通達で、パイロットの飛行時間の上限を月間100時間、年間1,000時間などと規定している。
 ある航空会社の成田とシンガポール・チャンギ国際空港を結ぶ便は、夕方に成田を出発し、深夜にチャンギ空港に到着。成田へ向け飛び立つのは24時間後の深夜だ。以前は現地に1日半ほど滞在していたが、短縮された分、往復するパイロットの休息時間が減った。機長は「復路の操縦席で、早朝の日光を浴びるころの疲労がきつい」と漏らす。
 国交省によると、国内のパイロットは2013年時点で5,686人。10年前より114人減った。一方、国内線と国際線の運航本数は93万3595本と2割近く増えている。30年に予想される航空需要を満たすには、国内で8,000人のパイロットが必要だという。
 特に深刻なのはLCCだ。各社とも、即戦力となるベテランのパイロットを数多く中途採用し、高齢化が課題になっている。13年1月現在、ピーチ・アビエーション、ジェットスター・ジャパン、エアアジア・ジャパン(バニラ・エアの前身)の3社を合わせた機長110人に占める60歳以上の割合は約3割に達した。
 元日本航空機長で航空評論家の杉江弘さん(68)は「短距離路線が中心のLCCでは、1人のパイロットがこなす離着陸の回数が多い。離着陸時は神経をすり減らす操作が多く、累積の運航時間に加えて精神的な疲労も心配だ。人員不足の影響で、以前にはみられなかったような重い負担がパイロットにのしかかっている」と警鐘を鳴らす。
 国交省はパイロット不足への対策として、定年を64歳から67歳に引き上げたり、自衛隊パイロットの民間への転職を国があっせんする制度を導入したりしている。機長への昇格に必要な訓練の軽減や、外国人パイロットの在留要件の緩和も検討している。ただこうした対策がどれだけの人材確保につながるかは未知数だ。
 国交省の担当者は「航空輸送の安全と発展のため、あらゆる取り組みでパイロット不足を解消したい」と話している。

消防防災ヘリ 操縦士の計画養成進めよ        2015年1月29日 公明新聞より

 総務省消防庁は、全国の消防防災ヘリコプターの操縦士を安定的に確保するため、今春にも学識経験者らでつくる検討会を設置する。検討会は、パイロット養成に詳しい学識経験者や自治体関係者、民間航空会社の社員らで構成し、実態把握を行いながら計画的な養成体制の構築をめざす。2015年度末までに対策を取りまとめる方針だ。
 消防防災ヘリは現在、都道府県や政令指定都市などが計76機を保有し、救急・救助活動や林野火災の空中消火、災害発生時の情報収集、物資輸送などに当たっている。東日本大震災では、全国各地の消防防災ヘリが地震発生直後から出動し、津波で孤立した被災者の救出や人員・物資の輸送などで活躍した。しかし、全国的な操縦士不足の影響で人材難に直面しており、一部の自治体では運航に支障を来している。例えば、ある県では2人しかいない操縦士のうち1人が退職したが、即戦力の操縦士を確保できず、現在1週間のうち2日間は運航できない状態に陥っている。このため同県では、やむを得ず飛行時間など採用条件を緩和して操縦士を募集したり、県内の消防士を県職員として採用し操縦士の自前養成を進めている。中には、これまで実施してきた24時間運航を維持できなくなった自治体もある。
 自治体が雇用している消防防災ヘリの操縦士は、105人(14年3月1日現在)いるが、40歳代半ば〜50歳代が6割を占める。消防防災ヘリは、山岳での遭難救助など危険な災害現場を飛行するため、一人前の操縦士になるまでに10年程度の訓練が必要だといわれている。ベテラン操縦士の大量退職を見据えた中長期的な対応も欠かせない。ただ、人材の確保は容易ではない。操縦士不足の影響を抑えるためにも、隣接する都道府県で災害発生時の協力体制を構築するなど周辺自治体と連携を強めることも重要である。同時に、自治体は安全運航を大前提とした人材確保策を計画的に進めてもらいたい。
検討会では、自治体が消防防災ヘリを安定的に運航できるよう、議論を重ね、操縦士の養成・確保に向けた具体的な提案を示してほしい。

LCCでパイロット不足 問題山積みの養成学校  2014年12月31日 GLOBAL NEWS ASIAより
 世界的にパイロットが足りない。LCCの中には、必要なパイロットを確保できずに運航を縮小しているところも出ている。パイロット人材の養成には時間がかかるため将来を見据えた計画が必要だ。ANAはタイにパイロット学校を設立。JALは1人500万円の奨学金を始める。
 航空大学校や、航空会社の社内育成パイロット試験は狭き門でそれ以外の方法でパイロットになるには、高額な自己資金が必要だ。
 3年前に少しでも安くパイロット資格を取得しようとフィリピンの養成学校に入りパイロットを目指したミュージシャンiwaptに問題点を聞いた。「最初は自家用ライセンスを2〜3カ月・40万円で取得できるという話だったんですが、通常は1週間で完了する航空身体検査(マニラの航空局)と、NBI(フィリピン国内で犯罪歴の無い証明)、SSP(特別学生ビザ)を提出して、パイロット訓練許可証を取得するまで、3カ月もかかってしまい大幅に予定がくるいました。
 海外からも多くのパイロット志願者がきており、インドネシア、インド、パプアニューギニア、イラン、韓国の学生がいました。学科授業の1カ月が終わったころ、フライトスクールのセスナが、ミンダナオ・カミギン島への遊覧飛行に訓練生を乗務させて墜落(2012年3月5日)。ノルウェイ人妻とフィリピン人パイロットが死亡。訓練生のインドネシア人とノルウェイ人の夫と子どもが生き残った。日ごろから、飛行機の整備もおざなりで、ボロボロの古い飛行機が多かったです。フロントガラスにひびが入り透明ビニールテープで補修しているぐらいです。ドアもきちんと閉まっておらず、飛行中のドアに隙間が開いていました。
 フライトスクールの学科試験に合格。飛行訓練がはじまりました。なかなか予約が取れません。毎日乗りたいのなら1回につき2倍の金額を要求され、その飛行機は後日、校長が墜落事故を起こした機体でした。金銭的に余裕のない生徒は飛行機に乗れず無駄な時間を過ごしていました。20時間の飛行訓練終了後に、単独飛行の許可を得るために書類を申請しました。
 今度は、マニラに向かっていた(以前2倍の金額を要求された)セスナが墜落(2012年8月19日)、パイロットは校長で、大臣も同乗していたので大きな問題になりこの学校は解体されました。
 パプアニューギニアの友人は、4年通っても事業用ライセンスを取得できていません。行政当局や学校職員の段取りが悪いためイライラしながら自家用パイロットライセンスや、事業用パイロットライセンスを取得して、航空会社に採用してもらうために頑張る学生がたくさんいます。別の学校に通っても、通常よりも高い金額を要求されたりトラブルが多いです」と話した。現在iwaptは、米系企業で働きながら音楽活動を続けている。


パイロット不足とアジアのLCC              2014年8月1日 時事公論より
 パイロット不足が深刻さを増しています。低価格を武器に路線を拡大してきた格安航空便・LCCには多くの運休が生じ、アジアではこれから20万人近いパイロット不足が生じるものと予想されています。
なぜ、パイロットが足りなくなっているのか。その背景には、世界と日本固有の二つの問題があります。経済のグローバル化による航空需要の拡大で、2030年には世界で98万人、アジアで23万人パイロットが必要となります。2010年現在で世界には必要数の半分の46万人、アジアでは今4分の1以下の5万人しかいません。
 世界的なパイロット不足がもともと高齢化の問題を抱えていた日本の航空業界を直撃している形です。このような状況の中でさらにパイロット不足に拍車をかけているのがLCCです。LCCは低価格を実現するため、例えば従来の旅客機にあったような、機内サービスをなくしたり、チケットをインターネットで販売するといったコストカットの経営で事業を拡大してきました。就航する航空機の機体を一種類に統一。そして短距離の便に特化していることです。エアバスA320など、ジャンボジェットの三分の一程度の座席数の機体は軽く、燃費効率がよいためコストを抑えることができます。しかし、小型化、近距離高頻度運航となるとパイロットがより多く必要になるのです。
このような事態が生まれることは予想できなかったのでしょうか。路線や機体といったハードの拡大と、それに追い付いていないパイロットや整備士というソフトの育成。双方のズレが生まれた背景にあるのが航空産業の自由化の波です。もともと旅客機は発着枠や、運賃、企業の参入などに厳しい規制がありました。しかし、アメリカでの航空の規制緩和で格安な運賃の路線が拡大。そして之を追う形でヨーロッパでも航空規制が緩和されていきました。こうして旅客機は一部の人が使う「特別な乗り物」から「庶民の足」にか変わっていったのです。
 今のアジアの空の自由化の流れはこの延長線上にあります。広い地域に新興国がひしめくアジアでは、道路や鉄道のインフラがまだ進んでおらず、人の移動が航空便、しかも安いフライトに集中しています。東南アジアでは、全体の輸送量に占めるLCC割合が50パーセントを超えました。この10年間に10倍以上という爆発的な拡大です。

LCC大量欠航                      2014年6月30日
 格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションが5〜10月に、2,000便規模の大量欠航を出すことになった。同社は先月から既に448便を欠航している。同じくLCCのバニラ・エアも今月154便のフライトをキャンセルした

 団塊の世代のパイロットが退職する一方で、若いパイロットの雇用が確保できていない。パイロット不足問題は、急速な高齢化が日本の航空産業に深刻な影響を与えることは間違いないだろう。
 2013年1月の時点で、日本には5,686名の有資格パイロットが従事しているが、今後8年の間に、7,000人以上の新しいパイロットが必要と言われている。
 今後20年の間に、航空会社は現在保有している5,000機を維持し続け、28,000機の新しい旅客機を購入する、とエアバス社は予想している。主要な航空会社の旅客機は現在の16,000機から33,000機と2倍になるであろう。 その内の24,600機はエアバスA320とボーイング737。それらの短距離機にはそれぞれ3つのクルーが必要であるため、2032年までに、14万7千人以上のパイロットを確保しなければならない。

若者のプライベートジェット免許取得増える (中国)     2014年6月5日
 中国では2013年12月から、汎用航空会社の設立審査が簡素化されると同時に、プライベートジェット・ビジネスジェットライセンスの資格要件が緩和された。
 こうした中で、「将来の就職に有利」と考えて、プライベートジェット・ビジネスジェットライセンスを取得しようと考える若者が増えてきたという。
 民間航空会社のパイロット養成費は通常、航空会社が負担する。パイロットは会社側と長期労働契約を交わすため、転職は極めて困難だ。こうした中、裕福な家庭の間では、自費で子供に飛行ライセンスを取らせる親がみられるようになった。将来の就職を有利にするためという。自費でライセンスを取得して汎用航空会社と契約を結ぶフリーパイロットは、少なくとも年収が20万〜30万人民元に上る。多ければ100万人民元を超えるという。
 中国国内では慢性的なパイロット不足に悩まされている。パイロットの不足数は、2015年ごろに年間1万8000人に拡大する見通しだ。さらに、中国政府が低空空域の開放を進めていることも、汎用航空分野のパイロット不足を一段と加速させている。
 プライベートジェット・ビジネスジェットライセンスの取得に求められる身体条件は、旅客機パイロットよりもはるかに緩やか。視力に関して言えば、近視が300度以下(レンズ屈折率が-3.0以下の眼鏡で矯正できる近視)で、乱視がなければ基本的に問題ない。養成学校の関係者は、「これまで視力はパイロットの夢を抱く人にとっての最大の難関だった。だがプライベートジェット・ビジネスジェットライセンスなら、このハードルは大きく下がる。自動車免許と同じような気軽さで取得できる」と紹介されている。





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